集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

ゆめのなーかなーら

淡路島『ナゾのパラダイス』に赴いてしまった時の話

ナゾのパラダイスを知ったのは、高校一年生の頃だった。 私が所属していた生物研究部の活動で、立川水仙郷付近のフィールドワークをすることになった。この部活は『外部の友達を連れてきても構わない』ようなとてもゆるい部活だったので、私の友人のZも参加…

雪の降る日に

某月某日 この街に雪が降った。積もるほどではない、短期的な粉雪である。口を開けたり目を開けたりしていると雪が入ってくるので、口を固く閉じ、薄目を開けて自転車を漕いでいるとたまらない窒息感に襲われる。バイト先のスーパーに近づけば近づくほどより…

私が初めて付き合った人 2

後ろから声をかけられた。Yちゃんだった。『あっ!Yちゃんだ!』無言を貫いていた私が弾んだ声を出す。Yちゃんと少しお話をする。 『そちらの方は?』『体育祭見に来てて、今駅まで送ってるの』 Yちゃんともう少しお話ししていたいと言う気持ちが芽生える。…

私が初めて付き合った人

初夏のような陽気の五月のことだった。 付き合って一ヶ月になる彼から最近何か予定はあるのですかと聞かれた。 『週末に大学で体育祭があります。この大学は一年生は文化祭と体育祭は必ず出席しないといけなくて、単位をもらえなくなるんですよ』 というよう…

特別な女の子 2

中学校に上がって、私は初めて今が終わらなければいいのにって思った。Zと出会ってからの私の6年間は何よりもきらきらしていた。同じ小学校から上がった友達から、友達になったのだと言われて紹介されたZと目があった時、 『ああ、私はきっとこの子の友達に…

特別な女の子 1

小学六年生の時、私は自らの人生を諦観していた。保育園の頃、私は早く小学生になりたかった。近くの小学校に通う子どもたちが保育園に訪れて、『小学校は楽しい』と言っていたからだ。私からは彼らが眩しくて、素敵なお兄さんやお姉さんに見え、憧れた。き…

図書館の記憶 2

学校の図書室は書籍の数も少ないし、小規模だし、借りに来る人も少ない。老朽化した床は歩いているとギシギシと軋むし、市立図書館のような美しさもない。だから入学当初はあまり魅力を感じなかった。しかし高校生になってから、学校の図書室にも魅力を感じ…

図書館の記憶 1

中学三年生から高校三年生の頃、市立図書館に足繁く通っていた。本を読むことが楽しかったから、というのも一つの理由だが、あの図書館が好きだったからだと思う。 家に持ち帰って本を読んでいるときよりも、借りる本をどれにしようかと探して回る時の方が心…

初めてラーメン二郎に赴いた話

これは2014年8月27日の出来事である。その日私は東京にいた。八年程仲良くしている友人とのオフ会を目的に。 場所は東京の池袋。朝早くに夜行バスでたどり着いた。東京1日目。 関西にはラーメン二郎のインスパイア店は存在するが、『ラーメン二郎』と銘打っ…

starlight

冷たい空気と空気の間を切り裂いて、自転車で団地の急な坂を降りていく時、自らが流れ星になったような不思議な心地によくなった。冬はいつも空が澄んでいて、頭上には無数の星屑があった。 家までの路には街頭が少なく、住宅の明かりもまばらに灯っている。…

裸婦像にブラジャーを着けた話

学校の裸婦像にブラジャーをつけること。それはいつのまにか、私自身の宿願となっていた。 ブラジャー装着を"冬"に行うというのに拘りがあった。利点が二つあるからだ。普段池の周りは人気がなく、誰も近寄ってこない。もし裸婦像にブラジャーを着けても、誰…

裸婦像にブラジャーを着けた話 前置き

友人が私に言った。「学校の池の近くにある裸婦像に、ブラジャーをつけるのが私の積年の夢だ。」と。 私は面白そうだと思った。 高校二年の夏。日差しも強く、木々の葉も濃く生い茂る頃、私たちは裸婦像の元に駆けた。手には巻尺を持って。裸婦像の「トップ…

『サトちゃん』

あなたはサトちゃんを知っていますか。 サトちゃんムーバー: http://youtu.be/veVrk3pWjIc そう、こいつだ。ドラッグストアの店頭に置かれていて、金を入れると2~3分の前後運動を繰り返す象だ。しかも、物凄く耳に残るメロディーを大音量で流しながら動く。…

ゆめちゃん

わたしが小学一年生の頃のことです。担任の先生に『ゆめちゃん』の作文を書いてくるように言われました。ゆめちゃんとはわたしが飼っているハムスターのことです。 わたしの小学校では毎年作文集が作られ、一学年に一人が代表で作文を書き、その冊子に記載さ…

ある少女 1

私は、誰よりも子どもらしい子どもだった。しかし、大人が求めている『子どもらしさ』とはまた違っていたように思う。 でも彼らが求めていた『子どもらしさ』っていい加減だ。落ち着いていてしっかりとしている子役の子どものことは『これは偽物だ』とみなす…

私の女の子らしさ 女々しさ 2

ある出来事が起きた。高校三年生の時のことである。受験が終わり、最終登校日も終わった頃、私は運転免許を取るため1ヶ月ほど徳島県にいた。 修了検定を何とか終わらせ、仮免許を取って数日後、三時間の高速教習があった。 高速教習では、教官と三人の生徒…

私の女の子らしさ 女々しさ

以前も述べたように、私は中学生の頃同級生の男子たちが嫌いだった。女子たち以上に陰湿だったし、場所も弁えずに下ネタを話している彼らを低俗だと心から蔑んでいた。 私は男子たちだけでなく、自分の『外』にいる女子たちのことも嫌いだった。 すぐ誰かの…

生々しい話

中学生の頃、私は同じ学校の同学年のすべての男の子を嫌悪していた。 下の階のベランダで食事していた我々に対して、上の階のベランダにいる男子が意図的にものを落としてきたことがあって、実際に被害を受けたからだ。 確か落としてきたのは、チョークの粉…

スパークリングミソスープ

(これは私が高校二年生の時に書いた文章です。 実家に帰ったときに見つけて懐かしく思い、載せることにしました。しかしそのまま載せるにはおかしい点や、恥ずかしい箇所もあったのでほんの少し修正しています。) ある日私の友人のSが言った。『味噌汁を炭酸…