集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

12月13日と12月14日の話

後でいつか読み返すことを想定して、ブログの記事をカテゴリー分けしてみた。

『ごめんねー』は日記的な文章、つまり日常についてだらだら書いているもの。
『すなーおじゃなくって』は自分の好きなものや最近はまっているもの、考えだとかをだらだら書いているもの。
『ゆめのなーかなーら』は、自分の過去を振り返りながらだらだら書いているもの。
『いえーる』はそのどれでもないもの、または非日常についてだらだら書いているもの。


この間、二十歳になったので期日前投票に行ってきた。出馬してるのは、地元で何度も当選している有力な議員と、共産党の人の二人しかいなかったので、そこまで投票はそう難儀ではなかったし、投票する前から結果の見えている選挙だと誰もが思っている。
比例は、特に推したい党があるわけではないので、白票を入れた。一番難儀だったのが、『最高裁判所の裁判官の中にやめさせたい裁判官がいるか』という投票だ。
やめさせたいも何も、私はその人たちのことを知らない。今まで一度もお世話になったこともないし。これから私がお世話になることはあるのだろうか。いずれにせよ書きようがない。私の初めての選挙はこんな感じ。



12月14日は祖父の三十五日の法要のために実家に帰っていた。淡路の場合、四十九日よりも三十五日の方を重んじる。
三十五日には近くにある高い山に親族で登り、寺にお参りに行く。私の家の場合、「千山」という山だ。
(人が亡くなったら、近くの一番高い山から天国へ行くと考えられている。高ければ高いほどよいとされている。その方が天国に近いからかしらと推測。)


山頂に着くと、『団子ころがし』を行う。『団子ころがし』とは山の山頂から麓に向けておにぎりを投げる淡路島独自の風習だ。死者の魂が餓鬼に取りつかれないようにするために行うのだ。
おにぎりの投げ方は花嫁のブーケトスのように後ろ向きに。けして投げる方向を見てはいけない。人間が見ていないから餓鬼がおにぎりに警戒しないのだそうだ。
餓鬼がおにぎりに目をとられ、食べている間に故人は天国へ急ぐ。


千山を登るのは、急な階段が多く、脚を壊している人やご老人なんかにはかなり厳しいと思う。母が足の小指を骨折していて、今は治りかけなのだが、とても辛そうで悲鳴をあげながら上がっていた。それに、登れば登るほど寒くなっていくように感じる。とても大変だ。
その苦労があることによって、功徳を積めると考えられているのかもしれない。


おにぎりを投げた後、「六角堂」という閻魔様と六地蔵様がいる部屋に通される。この人を極楽へ行かせるか否か、裁判官である恐ろしい閻魔様が審議なさる。そして6人の仏様たちは故人の弁護人なのだそうだ。
(この時に六地蔵様たち一人一人にも一つずつおにぎりを供えてたと思う)
その部屋で僧侶と親類は真言を唱える。意味もわからないけれど、極楽に行けるようにと私も頑張って唱える。

その後で本堂に参ってまた真言を唱えたり焼香をしたりする。六角堂にしろ本堂にしろ、冷暖房はおろかヒーター一つない。本堂の寒さは尋常ではなかった。素足で床を踏みしめたとき、底冷えするような冷たさが足の裏からじんと伝わり、とても身に堪える。カイロは持ってきてはいたのだが、寒いところではなかなかすぐには温かくなってはくれず、生ぬるい。
(千山に登ってから、心なしか体調が悪くなった気がする。)


本堂での読経が終わると、山を降りて父方の祖母の家に行く。そこには親戚と隣保長、同じ部落の人たちがいる。そこでまた真言を唱えたり、焼香をする。
真言が終わると遠縁の親戚と部落の人、僧侶にお茶とお菓子を出し、その後で一同で懐石料理を食べに行く。そこの料理は告別式の日の料理よりも見た目もよく、丁寧な仕事がなされていて、とてもよかった。お腹が苦しくなるまでたらふく食べた。



晩御飯を、父と母と私と母方の祖母とで食べに行った、その帰り道の車内で父が、『リベラルが今日で全店閉店する。潰れることを知った人たちが、持ってるポイントを商品券に変えて使いきろうと、一時期は銀行の取り付け騒ぎのようになったということを、先程の料理屋で聞いた』と言った。
リベラルとは淡路島に11店舗あるスーパーマーケットだ。母もそうだが祖母は特によく使っているスーパーだ。私が物心つく頃からずっとあったスーパーだ。
借金によって資金繰りがうまくいかず、自己破産をしたようだ。

母と祖母のポイントカードのポイントも変えてもらおうかと思ってリベラルへ行ったが、8時の時点で閉店していた。本来は10時で閉まる。
にも関わらず扉の前には8人ぐらいの人がいた。手にはポイントカードを持っていたし、中には携帯電話で問い合わせをしている人もいた。
しかし、照明は落とされたし、レジを精算してしまっているし、商品券に変えてもらっても使うことは出来ないなと判断したため私は足早に引き返した。

ポイントが無駄になったことよりも、前日に何も言わずに突然夜逃げのように閉店したことの方がショックだった。

そんな日に働いていた従業員のことを思うと胸が締め付けられる。
昼頃は、商品券の発券機の前に100人以上が並んでいたというし、それだけの人の対応を強いられたわけだ。駐車場の整理をするガードマンも大変だっただろう。レジ係も、理不尽なことをたくさん言われただろうし、サービスカウンターは問い合わせの電話が鳴りっぱなしだっただろう。
何より、その日頑張って働いても、会社がそんな状態だからその日の給料が貰えるかもわからない。ましてや退職金も貰えるかもわからない。たくさんの人が路頭に迷うかもしれない。あのスーパーには親切な店員さんもいたのに。一番理不尽な目にあったのは店員さんたちだ。自分がスーパーでのアルバイトをしていることもあって、つい考えさせられてしまった。