集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

成人式の前撮り

今日、成人式の前撮りに行ってきた。家族との写真も撮ってもらうため、わざわざ父と母も淡路島から出てきてくれた。撮影スタジオは梅田駅付近の某所。

振袖は結婚すると着られなくなってしまうし、未婚女性であっても、30過ぎになって着ることは恥ずかしい。振袖を堂々と着ることが出来るのはこの場ぐらいのものなのだ。
だから本来の『成人を祝う儀式』ということよりも『振袖を着る』というところに重きを置いている。私にとって成人式はただのコスプレパーティーと変わらないのかもしれない。

和服好きの祖母の孫である私もまた、和服がとても好きな人種であった。
(しかし好きだからといってそんなに着る機会があるわけでもないし、自分で着ることが出来る訳でもない。ましてや詳しいわけでもない。ただ好きなだけである。)

私は自分が成人式に着る振袖をかなりこだわって選んだ。振袖だけでなく、色々 なものに自分の好きなものをわがままに取り入れていった。父も母も私の好きなようにすればいいと言ってくれるので、存分に好きにさせていただいた。
(ただしレンタル)

振袖を着るなら、ちゃんと振袖を主役にしてあげるような着方がしたいと思っていた。髪を盛り上げたり、横髪を垂らして小顔に見せようとしたりして、自分をよく見せようとして振袖の邪魔をすることはしたくなかった。和服には髪はシンプルな方がいいというのが私の持論だ。


私はこの振袖に心からときめいて選んだ。とても気に入っている。呉服屋さんを四店舗はしごして探してようやく見つけた理想の振袖。
その振袖をいかにして美しく見せるかが勝負なのだ。私の気に入ったこの振袖を、他の人からも美しいと思ってもらいたい。振袖をより美しく見せるための脇役が私。あくまで主役はこの子なのだ。


この振袖は白地なのだが大胆に朱赤が入れられているため、左側から見ると白地に見え、右側から見ると朱赤地に見える。(私はその風変わりなところが気に入っている。)
布は艶やかで光沢がある絹が使われていて、細やかな刺繍が施されている。さらに金駒の刺繍が豪奢にあしらわれ、とても華やかさがある。それでいて金に悪趣味さは全くなく、上品なのだ。光を浴びると金駒刺繍たちはきらきらと水際立って煌めく。
柄は金の扇に朱赤と白色の菊。牡丹か芍薬か、縮れた花弁の八重の花。星屑のように散りばめられた金箔たち。袖や裾には金の波模様。細やかにある紅葉や梅や藤も可愛い。
何度見ても美しいし、何度見ても心が満たされる。見るたびに、この子を選んで本当によかったと思う。

しかし、この振袖は使われている色彩が他の振袖と比較したときとても少ない。白と朱赤と深緑と金色で統一されている。その色たちはシックで上品ではあるが、鮮やかに映えるような色ではない。
振袖と同系色の重ね衿や帯揚げを使えば、確かにお手本のような正統派の美しさはあるが、もっと違う色を使いたいと思った。上品で美しい古典柄を選びながらも保守的にならずに、冒険的なものを取り入れることに"美"を感じたのだ。


考えた結果、重ね衿にマリンブルーを、帯揚げにはエメラルドグリーンを取り入れた。通常重ね衿や帯揚げは振袖の中に入っている一色を取り入れるものだ。青色なんてこの振袖にない、突飛な色だ。勿論呉服屋さんはこの色を勧めては来なかった。

しかし、朱赤の補色である青色を取り入れた方がきっと面白いと思った。その青色ははっきりとした縁になり、全体の色合いを引き締めてくれるだろう。
少し黄味が含まれている青色や、青と緑の中間色は私がとても好きな色で、普段もよく取り入れている色だ。この色があってこそ自分らしさが出ると思った。


髪飾りは大輪の白椿の花と、重ね衿の色に合わせて選んだターコイズ色の玉かんざし。玉かんざしと衿の色を揃えれば衿の青色の突飛さが薄れるだろうと判断したのだ。
花飾りが大きいため、髪をすっきりとしたものを選んでいたのは正解だった。


私のイメージしていたものが一つ一つ、プロの手によって叶えられていく。
マリンブルーの重ね衿もエメラルドグリーンの帯揚げも、二つともとてもいい味を出していた。自分の予想以上によかった。
朱赤も金も緑も青も全部自分の好きな色だし、自分にとっての可愛いものを全部全部欲張りに取り入れている。自分のわがままがすべて叶えてもらえた。もう私とっても幸せ!
(帯の結び方まで細かく注文する客はなかなかいないらしい。鬱陶しい客だと思われてしまっただろうな。)


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P.S.H氏ハピバ