集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

ヘドロのような日常を

クリスマスの日、私は浮かれたサンタ帽を被って、スーパーのレジのバイトを六時間やっていた。失われていく目の光。何で私こんなに働いているんだろう。
月曜日は5時間、火曜日も5時間。水曜日は休みで木曜日は6時間。そして金曜日は7時間。
当初の契約での労働時間は一日3.5時間だぞ。なんでこうなったんだ。色々妥協していくうちに底辺にまで落ちていくのね。
人気がなくなってきて、事務所の意向で露出のどんどん増えてきたグラビアアイドルがとうとうAVに出ちゃう感じに似ている気がする。バイトって一体何なんだろう。
今年最後に鈴木と撮ったプリクラに書いたメッセージは『来年もよろしく』でもなく『今日は楽しかった』でもなく、『おたがいバイトがんばろう』だった。切実な労働者感が強すぎる。私の心のソウルジェムが濁っていく。魔女化するのも時間の問題かもしれない。ちなみにもう喪女化は進んでる。


『大学から私の下宿までの道中にローソンがあるんだけど、そこにイケメンの店員がいるのね。そのイケメン、私が何も言わなくてもスプーンとお箸入れてくれるんだけど…‥もしかしてあの人私のこと好きなのかな‥』
『しかも私がお買い物終わった後に笑顔でありがとうございましたって言ってくれるんだよ…もう絶対私のことが好きだと思うの…』なんて深刻な口調で鈴木に言ったら、笑いながら軽蔑された。私は人としての何かを失いつつある。
イケメン店員のレジでお弁当買うときに
『こちら温めますか?』なんて聞かれたら、弁当と一緒に私の心まで温められそう。もう駄目ですね。


12月27日、鈴木ともう一人の友人と遊ぶ約束をしていた。ちなみにそのもう一人の友人とは、過去二回遊びに行こうと誘った際に二回とも前日または当日にドタキャンして来なかった子だ。だから今まで一度も遊んだことがない。今回は果たして来るのか。『三度目の正直』か。『二度あることは三度ある』か。とワクワクしていたら、彼女は案の定ドタキャンした。
彼女は当日に『ごめん今日は咳が止まらないからいけない』と鈴木にラインで連絡したらしい。一昔前に流行ったt.A.T.u.かお前は。二度あることは三度あったね。現在誘ってドタキャン率100%か。凄いな。
(本当に体調が悪かった場合を全く想定していないところに私の性格の悪さを感じるかもしれない。)

二人きりの待ち合わせで相手が来なければ悲惨だが、他の友人がいてその日を楽しく過ごせれば私はそいつが来なくても全然気にしない。でももう積極的に誘うことはないな。


その日もいつものように鈴木と二人で買い物をした。オルビスの化粧下地を買ったり、化粧落とし買ったり。
鈴木は三宮のドラッグストアの情報にめちゃくちゃ詳しい。どこの店ならテスターが多くあるだとか、この店は土日なら6%OFFで商品を売ってるとか物凄く知ってる。心強いガイドである。


鈴木が『献血しようぜ!』と誘ってきたので、ミント神戸赤十字献血センターへ赴いた。二人とも、献血は初の試みである。
私は献血できなかった。たまに立ちくらみをするし、血圧を測定したら、最高血圧が89で最低血圧が45ぐらいだったからだ。鈴木は無事献血できたようだったけど。
ミント神戸赤十字献血センターは職員が皆親切で優しい。献血できなかった私にもアイスとバームクーヘンくれた。あと飲み物も飲み放題だし。非常に快適で山賊のように居座った。
もし献血するならここがオススメですよ。凄くよかった。半年後には献血出来たらいいな…‥と思う。