集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

初めてクラブに行ってみた話 2

ここからはクラブで思ったことを箇条書きにしていこうと思う。

①何せ音量が大きいから、話したいという気持ちを失せさせる

人と話す際、耳元で大きな声で話さなくては聞こえない。だから私は携帯を取り出して、文字を見せて意思表示をしていた。その方がスマートに伝えられると思ったし、何より言葉を口に出すことが面倒になっていた。
人が多くてどうしても肩が触れたりするし、何かを伝えるにも耳元で話したりしなければいけないし、人との距離感が近いのが仕方のない場所って感じだった。

②めちゃくちゃ絡まれる

『この子なら何かしらの反応は得られる』と分かられてしまうのか、異様に絡まれていた。見た目はギャルっぽくしていたが、中身は内気なコミュ障のままなのがバレていたのだろうか。横にいる友人はあまり絡まれていなかった。(金髪で話しかけても無視されそうな雰囲気を友人が持っていたからかなと思う。)
『無視をするのが適切な対処』とは知ってはいたのだが、実現することの難しさを痛感する。
彼らの絡み方も凄い。距離感が近い。いきなり肩を組んできたり、人に押されたときに腰を支えてきたり、顔をこちらに近づけてきたりする。俺に触るな、火傷するぞ。軽い拒否をすると彼らは深追いをせず、離れていく。その点非常に心得ているのだろうと思った。しつこく絡んできたのは、ますだおかだの岡田似の男ぐらいか。
私に絡んできた後に間髪いれずに目の前の女の子にアプローチをして壁ドンをしていた人には『プロはすげーな』と思わざるを得なかった。そして目の前の女の子もまんざらではない様子。
ただ色々な人に絡まれ、一人一人に対応していると物凄く疲れてくるし、クラブにいる誰とも関わりたくないという気持ちが募ってしまった。

③音楽に合わせて体を動かすのは楽しい

多分ここで流れている音楽は『オールジャンル』というものではないだろうか。クラブミュージックに明るくない私でも、聞き覚えのあるような曲が何曲かあった。カンナムスタイルとか、サンバっぽい音楽とか、ONE DIRECTIONのなんかのCMで使われてた曲とか。(知識のなさがひどい)
体を動かしているときは音の大きさもそこまで気にならない。長くいるとその爆音の中に馴染んでくるのかもしれない。(クラブから出ていってしばらくは音が遠いような感覚があって、つい自分の声が大きくなっていた。耳の遠い老婆がだんだん自分の声が大きくなる現象と同じものを感じた。)
皆が盛り上がっているしそこが非日常的な空間であることもあって、私も高いテンションでいた。場の一体感なんかを楽しむ場なのだと理解した。

④一緒に来ていた友人

踊っているときにスタッフから『シャンパンを今なら無料で飲めるのでこちらに来て』と言われ、この群衆に内心うんざりしていた私は友人と共にダンスフロアから離れた。
バーカウンターに移動したときに友人が私に抱きついてきた。彼女だけが唯一の同胞のように思えて、強い安心感があって、私も抱きしめ返さずにはいられなかった。
そうしていると、別のスタッフの人が寄ってきて『ここで抱きつかないでください』と言った後、友人を連れて外へ出ていってしまった。何があったのだろう。禁止行為をしたからしょっぴかれてしまったのだろうか。私は困惑した。一人残された私は、サバンナに置き去りにされたペット犬ばりに心細い気持ちになった。
階段を上り後を追うと、スタッフから『泥酔しているようだったから、外に出して休ませている』と言われた。私に抱きついている様子が、泥酔の成れの果てだと勝手に思われてしまったらしい。泥酔なんてしていないし誤解なのだが、この大音量の中では弁解のしようもなかったし、意味もわからないまま連れ出されていたからどうしようもない。
寒空の下で二人で凍えながら入場を待った。(コートはロッカーに預けたままだ)

友人にはもう少し話していたい人がいたらしいが、私が無理に呼んでしまったためにあまり話せなかったようだ。その時私はあまりにも人と関わりたくなさすぎて、もう心が鎖国状態にあった。もうクラブの楽しみ方はだいたいわかったからもう帰りたいと思っていた。しかし友人はまだここに居たいと思っていることを私はわかっていた。ああ、この子はもっとここにいたいと思っているのかと思うと心に小さな疎外感を覚えた。
結果、私の方がもう帰りたいと言って深夜1時に店を出たのだが、申し訳ないことをしたなと思う。でももうお腹いっぱいだったの…

⑤えげつない人口密度
満員電車がどうして不快なのか。それは人が自らのパーソナルスペースに入ってくる感覚があるからだ。満員電車の世のお父さんはこんな気持ちで通勤しているのだろうか。人に押される。誰かと肩がぶつかる。不快。
空調はぬるぬるとした蒸し暑い温度設定。空気も一度誰かが吸った後の空気をそのまま吸っているような感じがして、とても不快だ。煙草を吸っている人の煙や天井から噴く煙によって、目の前がもやもやし、カラフルな色の光たちが遠くに揺らめいて見える。踊り疲れて意識にも霞がかかる。
人波に押し潰されそうになるとき、私の脳裏にはテレビで見たあるニュースが思い浮かぶ。養鶏場の鶏たちが、雷鳴の恐怖でパニックを起こし、相互に踏みつけあって圧死した話だ。

⑥流れている音楽はわりと好きかもしれない
クラブミュージックは結構好きかもしれない。曲に法則性があって、知らない曲でも次の音がどんな感じかだいたい予測ができる。所謂『ノレる曲』とはこういうものなのだろう。もっと人口密度がましで、あんまり男性が一方的にこちらに干渉してこないクラブがあるなら、また行ってもいいかもと思う。でもここはもういいかな。

⑦やっぱり凄い場だなここは
目の前で男女がキスしてた。事前に御子柴清麿氏のブログを読んで、そういうことがあると知っていたので、『ああこれ!真剣ゼミでやったのと同じ問題だ!』感覚で見てた。

⑧楽しんでいる時に襲ってくる物凄い冷静な気持ち
一定の期間をおいてDJが言う『改めましてハッピーニューイヤー』
それに対して叫ぶ群衆の『イエーイ』という掛け合い。
(どこのDJも同じなのかは定かではないが、ここのDJはアドリブを言って、人々を盛り上げようとしているようだった。)

何回繰り返すのだろう。何が楽しいのかな。彼らはこのまま朝までずっとこんな生産性のない繰り返しを、夢が覚めないまま続けられるのだろうか。
無心で楽しんでいるときに私の心に入ってくる、このフロアを亡霊のように鳥瞰している物凄く冷静な私。
体力がないため、疲れてくるとより頭が冷静になってしまう。光に酔い人に酔い音に酔っていた。
光る棒を持って垂直にジャンプしている私を鏡越しに見た時、『私アフリカの部族みたいだな』とか考えていた。


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