集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

成人式に行ってきた

私の朝は成人式にもかかわらず、あまり早くない。一年前から、近所の床屋さんに着付けと髪を頼んでいたので、8時に着けば良かったからだ。

 

髪型は、お団子の中に詰め物を入れてくれていたので、髪にボリュームを出してもらえ、前撮りの時よりも私のイメージしていた髪型に近づけてもらえた。


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前撮りを見た祖母が、「襟が白い襟だと少し首元が寂しい」と言って刺繍襟を買ってきたのでそれを着けた。

私は、自分がこだわるものには徹底的にこだわるのだが、興味がないものにはまったくの無頓着だ。そもそも刺繍襟にさほど魅力を感じていないので、正直白でも刺繍襟でもどちらでもいいとすら考えている。草履や鞄も同様で、適当に選んでいる。爪にもあまり興味がないので、そのままにしてある。

(個人的に、靴と爪にこだわる人はものすごくおしゃれに思う。本当におしゃれな人は細部にこそこだわるような・・そんな気がする)

 

着付けが終わり、まず父方の祖母の家へ挨拶に行く。振袖姿では車の運転ができないので、父がずっと運転をしてくれていた。

父方の家に、祖母と伯母と叔母夫婦が集まってくれた。祖父がいないこの家で一人で祖母は住んでいるのかと思うと、この家が寒くて広すぎるように思った。

祖母が椅子を出してきてくれ、私はそれに座る。

(親の兄や姉に当たる人は「伯父・伯母」を使い、親の弟や妹に当たる人は「叔父・叔母」を使うと最近気づいたので、使い分けてみている。分かりづらいかもしれないが、得た知識はなんとなく使いたくなるものなので許してほしい。)

 

叔母が私に花束をくれた。なんでも、式典終了後には花束を持って歩いている新成人が多くいるらしく、持っていなければその場で浮くということはないがあったほうがいいだろうと判断して、くれたようである。一年前に成人式をやった親の情報はありがたく、振袖選びを早めに行ったのも叔母の助言からである。

ちなみに私のいとこにあたり、叔母の娘である玲ちゃんは、陸上部の後輩から小さな花束3つと、レースクイーン時代のファンから特大の花を2つ、持てないほどの花を貰って右往左往したらしい。だから成人式当日のことは「花束を受け取るのにてんやわんやしてて、花のことしか覚えてない」と叔母は言っていた。

 

次に母方の祖母の家へ挨拶に。式典の時間までおかきを食べたりしてだらだらする。

 

親族たちは私のことを綺麗だと言ってくれた。こういう時に綺麗ではないと言ってくるような人はあまり身の回りにはいないので、実際に私が綺麗かどうかは定かではない。しかし私はこういう言葉は基本的に真に受けて悦に浸るタイプの人間なので、幸せ者である。

 

成人式の会場へ着く。友達は皆隣の市の式典に出席すると聞いていたので、私はアウェーである。中学高校少し話す程度ぐらいだった、知り合い以上友達未満の人とその人の友達(初対面)となんとかにこやかに話し、この場を和やかに終わらせお茶を濁す。

地元ケーブルテレビが取材してきた。テレビに映れば、祖母が喜んでくれると思ったので頑張って答える。インタビュアーから一番近い位置にいたため、3人の中から一番最初に質問を聞かれて答えなくてならないので、ほかの二人のようにシンキングタイムを与えられず、うまく答えられなかった。

母のいとこが使っていた襟巻きを借りていたのだが、異様に存在感がありもふもふしていた。風が吹くとまるで炎のようにめらめらともふもふが舞い上がり、口の中に入ってくる。帯より上の上半身がすべて巨大なもふもふによって覆われていて、私のお気に入りの差し色の青の重ね襟が全然わからない。

久しぶりに会った同級生からかけられた言葉はたった一言、「もふもふすごいな」だった。だよねー私もそう思うわ。あれすごく邪魔だったな。その日暖かかったし、車においてこればよかった。

(ケーブルテレビが取材してきたときも存在感あふれるもふもふをつけていた。悔やまれる。取材後にやっぱりこれ邪魔だなと思って父に預けた。)


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式典が始まった。私の前の席と後ろの席に花魁のギャルが座っていた。「あーこれ、はさみ将棋だったら私死んでたな。」なんてのんきに思う。彼女たちは悪趣味に自分の好きなものを突き詰めている、成人式の風物詩だ。私の住む市は土地柄アレな人が多いのか、他所の成人式会場よりも花魁や袴姿が目立つ。

うっかり前の席の花魁のスマホの待ち受けを見たときに、0歳児ぐらいの子供を抱いている写真だったので「ヴェッ!?」とは思ったかな。 

 

振袖を着ている人は多くいるが、私の視点から見て私よりも素敵な振袖を着ている人はいなかった。自分の趣味を濃縮還元しているから当然といえば当然なのだが、この場に私以上に私の心を動かす振袖を着ている人はいなかった。数多振袖を着ている人が多くいるこの場で私が一番センスがよくて、振袖の趣味がいい。そんな風に思えることなんて今後三十年ぐらい訪れないんじゃないかと思う。

そしてそれはきっと、ほかの女の子たちや花魁たちも、彼女たちの視点から見れば自分が一番華やかで趣味がいいと思っているのだろう。