集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

ある少女 1

私は、誰よりも子どもらしい子どもだった。しかし、大人が求めている『子どもらしさ』とはまた違っていたように思う。
でも彼らが求めていた『子どもらしさ』っていい加減だ。落ち着いていてしっかりとしている子役の子どものことは『これは偽物だ』とみなすのに、落ち着きのない子どものことは『しつけの行き届いていない子ども』だといい印象を持たない。そして私は、どちらかと言えば前者のタイプの子どもだった。
私は見た目も発言も大人っぽく、あまり子どもらしいとは周りから思われなかった。でも、本当はただ大人の真似をしていただけだ。
『君は大人っぽいね』って言われると嬉しかった。私は周りの子どもよりも大人っぽいんだなんて自惚れた。
でも『大人っぽい』はあくまで『っぽい』であって、けして『大人』ではないのだ。自分のことを大人っぽいと思っていたり、大人っぽく振る舞おうとしていたのはある種何よりも子どもらしい行為だったのだ。