集合住宅

蛇の道はheavyだぜ

それでも俺は髪を切るんや

成人式が終わったら、髪を切りたいと思っている。今よりも20センチ以上切って、ショートヘアにしたい。しかしそれを言うと友人、行きつけの美容師、バイト先の数名、バーのマスターや客など、皆から『今の長い方がいい』と言われてしまう。
それだけ今現在の髪型が似合っているということなのだから、ありがたい話だし、切ってしまうのも勿体ないかなという気持ちも生じるが、それでも私は髪を切る。その理由を箇条書きにしようと思う。

①明確にやりたい髪型のイメージがあるから

私はこの髪型にしてみたい。横から見たときの形状がとても綺麗だと思う。


②髪を伸ばした理由が後ろ暗いから
(これが一番の理由かな)

私は中学1年から高校1年の間は、ショートヘアまたは肩につくかつかないかぐらいの長さで、ずっと髪を短くしていた。しかし高校二年生の冬ごろには胸ぐらいの長さになっていた。

高校二年の夏、私は友達と仲たがいをした。
今まではいつも自分が折れて謝って関係を修復してきた。自分に言い分があっても言わなかった。『今ここで自分を悪者にしてもそれでもその子と付き合う価値があり、その子のことが好きなのなら私は関係修復のために謝る。その方が長い目で見れば賢いし得だ。』という合理主義的な考えに基づいていたからだ。

しかし、その時は謝るのが嫌だった。いつもそうやって私が折れて、自分の心を隠して謝らなければ友人との関係を繋ぎ止められないのか。私だけが必死で人との関係を繋ぎ止めているように感じ、そうやって朝貢貿易スタイルな人間関係を続けていくのに疲れてしまった。もう自分からは謝らないと意固地になってしまった。
でも私から謝らなくても人間関係は修復できると思っていた。仲直りできたら髪を切ろう、それまでは伸ばしたままにしよう。そう決めた。
しかしなかなか仲直りの機会はなく、どんどん私の髪は伸びてとうとうロングヘアーにまでなってしまった。髪が伸びれば伸びるほど、私に圧迫感を与えた。髪がすっかり伸びた頃、私は今さらその友人に対して謝った。それでもう喧嘩したままの関係ではなくなったけれども、以前の仲のよさには戻れなかった。その微妙な雪解けの結果では髪を切れず、大学生になる。


③変化が欲しい
一年生の頃は初めての一人暮らし、バイト、大学生活、サークルなどと新しいものに溢れていた。しかし現在は変化に乏しい日々を過ごしている。私は唯一無二の存在ではなく、いてもいなくても変わらぬ悲しいモブキャラなのかもしれないと思う。私を特別にしてくれる友人は数少ない。
でも20cm以上も髪を切れば、きっと私の変化に皆気づいてくれると思う。私は気づいてもらいたいのだ。それにロングヘアーになってもう三年以上になるし、いい加減飽きた。

④ショートヘアが好きだから
ロングヘアーもいい。しかしロングヘアーはなんとなく凡庸な感じがする。私の好きな芸能人にはショートヘアの人が多い。
ショートヘアは顎のライン、輪郭、後頭部の丸み、耳の形が分かりやすい髪型だ。そこがとても魅力的だと思っている。
ショートヘアの切り揃えられた襟足は舐めまわしたいぐらいの好物だし、ショートヘアは首の美しさが引き立つ髪型だと思う。(私は首フェチでもある)
似合う似合わないに関係なく、好きな髪型だからやってみたい。

⑤髪の伸びるスピードがめちゃくちゃ早いから
今年の夏に肩より少し長いぐらいに切った髪が、現在胸ぐらいにまで伸びている。半年で髪が10cm近く伸びている。たくさんの人の髪を切ってきたであろう美容師から、『人ってこんなに髪が伸びるんだな…』としみじみと言われてしまったので、相当伸びるスピードが早いのだと思う。
だからショートヘアにして万一似合わなくても、半年あれば肩ぐらいにまで伸びているだろう。

⑥長い髪のイメージを壊したい
大学生になってから交友している人たちは、私の長い髪の姿しか知らないし、私に対して長い髪のイメージを持っている。もう飽きた。

⑦髪が長いことを何も生かせない
手先が器用な人であれば自らの長い髪を色々といじってアレンジをすることが出来るだろう。しかし私は不器用なので、髪を後ろにボサボサにまとめるぐらいで精一杯だ。髪が長いことの利点を何も生かせない。無用の長物と化している。

髪をもう一度伸ばすにしろ、後ろ暗い歴史を持つこの髪を一度切って、リスタートがしたいのだ。